工芸品
更新日:2013年2月1日
熟鉄製海老(じゅくてつせいえび)
本品は薄鋼と細鋼を用いて製作したもので、金属工芸品として精緻巧妙を極めています。作者は明珍宗矩(みょうちんむねのり)といい、もと土浦藩に仕えていた甲冑師(かっちゅうし)です。元来、明珍家は室町時代に鎧(よろい)・兜(かぶと)・鍔(つば)などを作る家柄で、その祖明珍信家以来、甲冑師として武家の間に重用されていました。その後、明珍家は諸派に分かれ、いずれも明珍の姓を用いて全国に分布し、江戸時代には各藩に仕えて武具の製作をしていました。この作者宗矩もまたその一人でしたが、明治維新後武具製作の仕事が衰退したため、甲冑を作る手法を活用してこの工芸品を制作しました。
個人蔵 熟鉄製海老
鰐口(わにぐち)
愛宕神社所有の青銅製鰐口は元和7年(1621)11月、当時の守谷領主土岐内膳介頼行(ときないぜんのすけよりゆき)が荒廃していた愛宕神社の社殿を再建したとき、その家臣井上九左衛門、賀藤久太夫の両名が寄進したものです。鰐口の両面の中央には蓮唐草文を鋳出し、それを囲んで二条の圏線をめぐらし、さらに約2.5センチメートルの間隔をおいて三条の圏線を描き、また、同じ間隔をおいて外縁をなす一条の圏線があります。また、鰐口には次のような文字が刻み込まれています。
下総北相馬之郡森屋郷 別当什蔵院
干時元和七年辛酉霜月廿四日
愛宕山 鰐口
大旦那土岐内膳介御内
井上九左衛門、同賀藤久太夫
内森屋郷大工、小磯新左衛門信吉
愛宕神社 鰐口
