民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)
更新日 令和7年12月23日
法改正の概要
父母が離婚後も適切な形でこどもの養育に関わりその責務を果たすことは、こどもの利益を確保するために重要です。令和6年5月に成立した民法等改正法は、父母が離婚した後もこどもの利益を確保することを目的として、こどもを養育する親の責務を明確化するとともに、親権(単独親権、共同親権)、養育費、親子交流などに関するルールを見直しています。 この法律は、令和8年4月1日に施行されます。
親の責務に関するルールの明確化
父母が、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、こどもを養育する責務を負うことなどが明確化されています。
こどもの人格の尊重
こどもの心身の健全な発達を図るため、こどもを養育する責務を負います。こどもの意見に耳を傾け、その意見を適切な形で尊重することを含め、こどもの人格を尊重しなければなりません。
こどもの扶養
こどもを扶養する責務を負います。この扶養の程度は、こどもが親と同程度の水準の生活を維持することができるようなものでなければなりません。
父母間の人格尊重・協力義務
こどもの利益のため、互いに人格を尊重し協力しなければなりません。次のような行為は、この義務に違反する場合があります。
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暴行、脅迫、暴言等の相手の心身に悪影響を及ぼす言動や誹謗中傷等
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別居の親が、同居の親によるこどもへの日常的な世話に、不当に干渉すること
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特段の理由なく無断でこどもを転居させること
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父母間で決めた親子交流の取決めを特段の理由なく守らないこと
親権に関するルールの見直し
これまでの民法では、離婚後のお子様の親権は、父母のどちらか一方のみが持つ「単独親権」と定められていました。 今回の改正により、離婚後も以下のいずれかの方法を選択できるようになります。
共同親権: 父母が共同でお子様の親権を持つこと
単独親権: これまで通り、父母の一方のみがお子様の親権を持つこと
親権の行使方法(父母双方が親権者である場合)
共同親権では、父母が共同して親権を行使します。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他方が行います。
次のような場合は、親権の単独行使ができます。
- 食事や衣服の決定、短期間の観光目的での旅行、通常のワクチンの接種、習い事などこどもに重大な影響を与えない日常行為をするとき
- DVや虐待からの避難をする必要がある場合、こどもに緊急の医療行為を受けさせる必要がある場合などこどもの利益のため急迫の事情があるとき
監護についての定め
離婚するときは、こどもの監護(日常的な世話等)の分担についての定めをすることができます。この定めをするに当たっては、こどもの利益を最も優先して考慮しなければなりません。監護の分担の例としては、次のような定めが考えられます。
- 平日は父母の一方がこどもの監護を担当し、土日祝日は他方が担当するといった定め
- こどもの教育に関する決定は同居親に委ねるが、その他の重要な事項については父母が話し合って決めることとするといった定め
養育費の支払確保に向けた見直し
合意の実効性の向上
別居親が養育費の支払を怠ったときに別居親の財産を差し押さえの手続きを申し立てることができるようになります。
法定養育費
離婚のときに養育費の取決めのをしなくても、離婚のときから引き続きこどもの監護を主として行う父母は、他方に対して、一定額の「法定養育費」を請求することができるようになります。
法定養育費はあくまでも養育費を取決めするまでの暫定的・補充的なものです。こどもの健やかな成長を支えるためには、父母の協議や家庭裁判所の手続きにより、各自の収入などを踏まえた適正な額の養育費を取決めしていただくことが重要です。
裁判手続きの利便性向上
- 養育費に関する裁判手続きでは、裁判手続きをスムーズに進めるために、家庭裁判所が、当事者に対して収入情報の開示を命じることができることとしています。
- 養育費を請求するための民事執行手続きにおいては、地方裁判所に対する1回の申立てで、当事者の財産開示手続、給与情報提供、判明した給与債権差押えといった一連の手続きを申請することができるようになります。
安全・安心な親子交流の実現に向けた見直し
婚姻中の父母が別居している場面の親子交流のルールが明確化されます。また、父母以外の親族(祖父母等)とこどもの交流に関するルールが設けられています。
親子交流の試行的実施
家庭裁判所の手続き中に親子交流を試行的に実施する制度を設けています。家庭裁判所は、こどもの心身の状況に照らして親子交流の試行的実施が必要かどうかを検討し、実施を促します。
婚姻中別居の場合の親子交流
婚姻中別居の場合の親子交流のルールについて、父母の協議により定めることや、協議が成立しない場合家庭裁判所の審判等により定めること、こどもの利益を最優先に考慮することとされています。
父母以外の親族とこどもの交流
こどもの利益のために特に必要があるときは、家庭裁判所は、父母以外の親族とこどもの交流を実施するよう定めることができることとしています。
その他、詳しくは法務省のウェブサイトをご覧ください。
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